国際観光戦略研究所

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2013年11月28日 温泉は時代遅れ 日本の観光都市、カジノを切望

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高齢化と人口減少に悩む日本の地方都市は、財政難や人口問題の解決のためにはギャンブルに出るしかないと考えている。

国会議員が近々提出予定のカジノ法案により、日本でのカジノ解禁がおそらく2020年のオリンピックに間に合う形で進められる中、いくつかの小地方都市、温泉地、観光地では、こぞってカジノ営業許可の獲得をめぐる動きが見られている。

日本は世界でも残り少ないギャンブル未開拓市場であるが、富裕層が存在し近隣に中国を抱えているため、解禁すれば年間150億ドルの市場になると専門家は見ている。そうなると日本はマカオに次ぐ第二のギャンブル観光地となる。

いまのところ、東京と大阪という二大都市への誘致が注目を集めている中で、かつては南日本の造船の街として知られた佐世保、高齢化の進む北部の港町小樽などの地方都市が、カジノ建設による観光客誘致や税収、人口増加に期待している。
「温泉や日本食、富士山とか芸者、そういった日本の伝統的なものだけでは不十分」とホテル経営者の森田金清氏は語る。同氏は日本の中部に位置する温泉の町、熱海にピラミッド型のカジノを建設することを提案している。
「日本の人口がますます減少する中で、観光地にとってはいかに海外からの観光客を誘致するかが非常に重要」と言う。

今期国会が終了する12月6日までにカジノ合法化法案の提出を行い、来年には具体的に法律制定すべく、現在、議員らにより準備が進められている。この法案は可決される可能性が高いと見られており、その背景には企業寄りである自民党が政権の座にあること、そして阿部総理自身この動きを支持しているという状況がある。

この法案では、二つのタイプの営業許可(ライセンス)が提案されている。一つはグローバルな経営元による大規模な統合型リゾート施設で、これには広大なギャンブル・フロアの他、コンベンションセンターやエンターテインメント施設が含まれる。もう一つは地方都市でのよりコンパクトなギャンブル・リゾート施設である。

一方で、この法案では日本国内でのギャンブル営業許可(ライセンス)発行に制限を設けることが提言されており、建設地の優先順は、最も高い経済効果が保証され、また海外の観光客を誘致する能力を備えている場所とすべきとしている。
「東京や大阪での建設案を否定しているわけではない」と、地方自治体や日本市場に興味を示すカジノ経営者に対し助言を行うコンサルティング会社代表、木村慶一氏は語る。「ただ、この論議を2大都市に限定して行うのは明らかに間違っている」

オランダ風の街へのカジノ導入

ラスベガス・サンズやMGMリゾーツインターナショナルは、大阪と東京を最有力候補地と考えていることを表明している。
「 東京と大阪は、ビジネスと金融のハブとして知られており、ビジネスで訪れた人々からの観光のニーズが期待できる都市である。」と、ラスベガス・サンズ社傘下の施設であるマリーナベイ・サンズ社長兼CEOのジョージ・タナシェビッチ氏は、9月に行われたプレゼンテーション後のロイター取材に対して答えている。このプレゼンテーションで同氏は、東京湾に構想したカジノ・リゾートの模型を披露している。

議員からは、具体的に何カ所に対してカジノ建設を許可するという言及はないが、この議論に関わる一部の政治家は、大都市と地方のそれぞれに1ないしは2カ所ずつ配分されるのではないかと示唆している。

長崎の佐世保では、財政界のリーダーらがその枠を狙い名乗りを上げている。17世紀のオランダの街をモデルとしたテーマ・パークであるハウステンボスで、風車や運河に隣接してカジノを建設するという提案である。
この総合施設は、テーブルゲームやスロットマシンの他にホテルやエンターテインメント施設を含むもので、地元団体の予測では、年収約10億ドルの利益を生み出すと見込まれている。これによって、かつては製造業で栄えていたが次第に観光業に依存するようになった佐世保に、新たな活気を吹き込んでくれるとして期待されている。国内はもちろん近隣の韓国や中国、台湾からの観光客の誘致が狙いである。

「東京がすべてを取り込んでしまうのは良くない」と、ハウステンボスを経営する旅行代理店エイチ・アイ・エス会長の澤田秀雄氏は語る。「東京と地方都市との間には互いにバランスの取れた成長が求められる」

ヨーロッパとのつながり

ラスベガスやシンガポールの大規模リゾートとは対照的に、誘致に熱心な地方都市は、よりコンパクトな施設の手本として、ヨーロッパのカジノ施設に目を向けている。

ドイツの温泉の町バーデン=バーデンは、カジノ施設を持っていることから、静岡県の熱海と日本の南西に位置する徳島県の鳴門という、二つの伝統的温泉地の手本となっている。

カジノ・オーストリアとスイスのグラン・カジノ・ルツェルンは、共に日本企業とのパートナー提携による日本市場への参入を検討しているが、数十億ドルを投じる余裕はないことから、コスト削減のために既存のホテルや建物を使用する意向である。

グラン・カジノ・ルツェルン・グループのCEOヴォルフガング・ブリーム氏は、鳴門と東京で開催されたカジノ誘致に関する会議の場で、ロイターの取材に応じて次のように語っている。「再利用や活性化の可能な建物が日本には存在する。それらを用いることがヨーロッパ・モデルの重要なポイントである。カジノ事業は地域との融合が不可欠だ」

近年の高級カジノ施設の建設には数十億ドル単位のコストがかかっている。シンガポール川の河口に建つマリーナ・ベイ・サンズはその建設に60億ドルを要し、また昨年マカオでオープンしたサンズ・コタイ・セントラルの建設費は50億ドルであった。ラスベガスのカジノ王、スティーブ・ウイン氏は、マカオに新たに建設中の豪華リゾート施設に 「踊る」噴水付きの大きな湖とエアコン完備のゴンドラを設置するため、 建設費約40億ドルを投じる予定である、と語っている。

山やビーチ

最北端の北海道も、港町の小樽と苫小牧、東部の釧路という3カ所の候補地を持つ、カジノ争奪戦の重要な場所として正式に名乗りを上げ、準備を進めている。夏は涼を求めて訪れる観光客、冬場はスキー客に人気の高い北海道は、東京や大阪以外の最注目スポットの一つとして、南の沖縄のビーチと並んでカジノ関係者の注目を集めている。

シーザーズ・エンターテインメントは、北海道と沖縄の両方に注目していると語る。同社は北海道の人口20万人都市である釧路市当局を訪問済み。釧路市は温泉地の周辺にカジノを建設することを提案しており、カジノを誘致することで先住アイヌ民族の文化振興が図れることに期待を寄せている。
シーザーズは「東京や大阪などの大都市での近代的リゾートや、沖縄のビーチ・リゾート、あるいは北海道の山間リゾート」など、どのような形でも日本でカジノを運営することが出来る、と同社の国際開発部部長スティーブ・タイト氏は言う。

カジノ・オーストリアは、小樽に興味を示すグローバルなカジノ経営企業の一つである。港町である小樽が北海道最大の都市、札幌と近接していることは、カジノヘの投資の上で重要な強みと考えられている。

小樽市には年間約700万人もの観光客が訪れるが、その多くにとっては通過地点にすぎないため、同市で宿泊した場合と比較して小樽で遣われる金銭の額は微々たるものである。小樽市長の中松義治氏は、運河沿い、あるいは港に停泊する引退した観光船の船内にカジノを作ることでその状況も変わると見ている。

「なにかしらの起爆剤がなければ小樽の将来は厳しい」と同氏は警告する。小樽市の人口は3割が65才以上と全国平均を優に超え、道内でも高齢者比率の最も高い都市である。
「小樽の経済は悪循環に直面している」と、先月行われたインタビューに答えて中松氏は語っている。「そしてこれは小樽だけの問題ではない」

ロイター ネイサン・レイン/藤田淳子

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